腎生検を終えて 入院日誌四日目 2021/6/24

 23日の朝10時から腎生検が始まった。背中から針で腎臓の組織を取り、その状態から治療の方針を決めていく結構大事なやつである。しかしこれが曲者で、麻酔のおかげで術中の痛みはないものの、合併症の出血を防ぐ為に術後8時間はベッドから背中を離さず腕と首しか動かすことができない。そして24時間が経過するまで体をベッドから離すことができない。これが本当にきつい、というのも食事も小便も糞も横になってしなくてはいけないのだ。

 まがいなりにも私は20歳で一端の若者である。そんな私が、ネフローゼによって膨張した陰茎にカテーテルを挿入され、案の定入らず、四人部屋のベッドの上で「痛い痛い」と絶叫する中もう一度カテーテールの挿入を試みられ、やはり入らず、「尿瓶で対応しましょう」と一言。なぜハナから尿瓶にせんのだ? 手術室では数歳年上と思われる研修医が数人見学しており、「カテーテルは......」先生「入らないんでしょ浮腫んじゃって」この会話を、背中で聞いていたんだぞ、全てを。止血しながら先生に相槌を打ち、間が開いたかと思えば「大学生ですか?」「運動とかします?」「暇じゃないですか?」うるせ~~~~~~~~~~~~~~~よ馬鹿ヤローこちとらレンタルWiFi持っとるんやぞ暇な訳あるかいオメーはたいそう忙しいだろうが知ったこっちゃねーーーっつーの! 働くのに向いてんだよオメーはよ昨日は映画二本観たしYoutubeにいくらでも聴き残してる落語はあるわ昔のテレビ番組はあるは全然暇じゃねーーーーーっつーーーーの! 今日だって今の今まで安静解除されてから6時間TverをノートPCで垂れ流しながらスマホでHSBG回しまくっとったわ! なーーーーにが暇じゃボケスーツケースには二十冊は本を積んできたし潰しきれるほど暇も甘くないっつーの!

 とは言いつつも医者はかなり尊敬しているんですよ、「先生」と呼ぶ敬称を付けるのにふさわしいのは医者くらいだと思うんですよ政治家や作家や教師でなくて。

 尿検査の為に尿瓶に排泄をしなければならないのだが、これが一向に出ない。これは精神的な問題で、むしろすっと出たらそれこそ不自然じゃないか。

 人間には理性がある。スカトロプレイでおむつを履き、電車で排泄を行うようになると脳がバグって普通のパンツを履いていても排泄してしまうのは有名な話だろう。それと同じことで、お漏らしをとうの昔に卒業した人間が、いきなりベッドの上で排泄をしろ、と言われても無理な話である。

 なんとか水を飲んで小便は出たが、それは出なければカテーテルで無理やり出して尿検査をすると脅されたからからであって、どうしても大はしたくない。別に便の検査なんかは特にないのだから。無理に出す理由がない。

 ので、夕飯を抜いた。流石にそれは出来ない、いや力んでも理性のブレーキには到底敵わなかった。のおかげで今空腹に苦しんでいる。今思えば素直に夕飯を食して便を出しても、とも考えたが......いや無理だな出来っこない。隣でブリブリ糞こいておむつ変えてもらってるおじいちゃん凄い。出ないもん、だって。

 人生で初めて入院してわかったことは、たいていの患者は糖尿病で入院している、ということだ。あくまで私の狭い偏見にすぎないかもしれないが、血糖値が高すぎるんだみんな。食って呑んでで糖尿病、そして週3度の透析......これが医療の現実なのか?

 もう普通に便器に座って排泄が行えるようになったので、背中の痛みに耐えながら、これから厠に向かおうと思う。したら夕飯まで読書をして......又はTverで『水曜日のダウンタウン』を見るなりし、食後は何かしらの映画を一本観ようと思う。今日はそんなとこだ。バイト先への面倒なメールも送ったのでよしとする。健康に悪い食事がこれ程恋しくなるとは、思わなんだな。多分『コンドル』を観ると思う。洋画を邦画を入れ替わりで観ている。