『暗黒街の顔役』(1932/ハワード・ホークス)覚書2021/7/30
DVDにて鑑賞。
機関銃の連射と日めくりカレンダーのモンタージュ! 射撃に合わせて日が進む。
ボウリングの球を構える男、投げるモーションに入ると銃声、男が倒れるとキャメラ転がる球を追いかけピンを倒す、と一本だけ遅れてコロっと倒れる__。
裏切者に詰め寄るトニー、部屋を出て歩く後ろ姿に彼の声が重なる。「カムバック、トニー!」そして銃声。
チェスカの元を訪れるトニー、相棒を容赦なく撃ち殺す。チェスカの顔、銃声、コインを投げる右手のアップ、しかしコインは手元に落ちてこない__。男、倒れる。
追い詰められた兄弟、妹は流れ弾に被弾し倒れる。介抱するトニーの声「カムバック、チェスカ!」
投降するトニー「助けてくれ、丸腰なんだ」警官「お前は助けたのか?」
トニー外へ飛び出すと警官隊に撃たれ倒れる、頭上にはあの「The World is Yours」の看板が、看板のアップでTHE END。
このホークスの音楽的なショットのリズムは天才のそれである。例えばタルコフスキーのように、いかにもこれが映画芸術であると標榜した作品群__とホークスのモンタージュ、さてどちらが"芸術"であるかは言うまでもないだろう。トリュフォーにとって映画とは、散文の芸術であった。
ラストの室内の暗い照明も素晴らしい。口笛のシーンもホークスらしくて良かった。