『恐怖省』(1944/フリッツ・ラング)覚書2021/8/1

 DVDにて鑑賞。

 フィルマでケーキをマグガフィンにして巻き込まれるヒッチコック風~と若干揶揄されているけども、本作の降霊師の家のセット左側の窓を右に引き延ばしたらまさに『ロープ』のセットが完成するではないか! ラストの銃撃戦、屋上に出るシーンで映る天窓に雨を降らせたらデ・パルマの『ファントム・オブ・パラダイス』のあのシーンになる。

 別に二人がラングを意識していただとか言いたい訳ではなくて、セットを組んで映画を撮る、それが興行として成立・隆盛を極めていた時代__に対しての郷愁のようなものを感じるのだ。それは書店の大きな階段のセットにも感じられる。

 ケーキを追った後、パっとロンドンに飛ぶのが良い。しかし中盤はなんだかノれない、降霊師と振り子時計のモンタージュは良い。

 兄貴が指を鳴らすシーンから急にノってきた、銃を構える兄、妹は蝋燭(燭台)を兄に投げる(蓮見の言うフォード的だ……)とそれを合図に暴力(運動)開始! ゴロゴロ転がり銃が床に放られると妹手に取り構える。男、兄から上着を受け取るも兄は男を殴り、電気を落とすと「兄は撃てまい」ドアを開け外に出、閉めると銃声! ドア越しに兄が撃たれる。

 このシーンは所謂ハスミ的なものを説明するのにわかりやすいんじゃないかな。まぁフォードじゃなくてラングなんだけれども。しかしこのシーンは素晴らしい。

 確かに映画にはショットの規律(音楽で言うところのコード進行のようなものだ)が存在している訳で、蓮見はその快楽を感じろと言っているにすぎない。

 ラスト、ケーキだって!? 終。こういうのこそヴェーラで観るのに丁度良いんだよね。『マン・ハント』も『死刑執行人もまた死す』もヴェーラで観た。『ハウス・バイ・ザ・リバー』が今丁度ヴェーラで上映中なんだけども入院が延びたせいで観られない。は~~~ほんま。

 爆弾を食らってから刑事の詰問のシーンも良かった。