『友だちのうちはどこ?』(1987/アッバス・キアロスアミ)覚書2021/8/11

 初キアロスタミ、子供が主人公ってだけで清水宏と結びつけるのも安直だけれども、どちらかと言えば『ルカじいさんと苗木』みを感じた。実際後半になると爺さんとの二人旅になるし、冒頭の坂道からしてもうルカじい。山岳地帯を子供が歩くというのがルカじいなんだよな。

 しかし何というか、これは個人的な体調の問題だろうけども__チト眠い。しかし本作は短い、そう映画は短いに越したことはないのだ。短いのが良い。その証拠にラスト、ただ彼が友人の分も宿題を終わらせ、先生は言及せずによし、とサインをし、横のページには花が__これで良いのだ。教室で始まり、教室で終わる映画。しっかり頭とケツが繋がっているではないか。

 場所の反復もある、見知らぬ街へ行き、戻ってきたかと思えばまた再び街へ出て、夜になる。そして家に戻ってきて__そう、映画においても地理的な運動とでも言おうか、つまりこれは早撮りのテクニックである。映画を効率よく仕上げるための、つまり一つのローケーションで二つのシーンを撮り、それを前と後に分けて使うという。

 これは単に効率的な生産性のみをもたらすのではなく、音楽的な反復、つまりリズムをも生み出す。マキノ正博の偉大な作品群を見てみたまえ!……これは私への戒めである。