『赤ちゃん教育』(1938/ハワード・ホークス)覚書2021/8/13

 本当に面白い、もう何も俺なんぞが言及することはない。アクションでアクションをつないでしまうホークスの天才! アクションが止まらないにも関わらずホークスの会話が連なっていく、いやむしろアクションによって加速している。

 『関の彌太ッぺ』のあの花の壁は本作のラストから来ているんだな、こちらは崩壊にこそ意味があるけども、あっちはむしろ壊さないことで壁を作ったんだな、どちらも素晴らしい。

 本当に全てが面白い映画だから何も書くことがない、ただ観ろとしか言うことがない。『コンドル』と本作はちょっと異常な映画。面白すぎるんだ、あまりにも。

 違反切符を切られるくだりなんかはかなりちゃんとしているのに(脚本の辻褄という意味で)、何故か隣の車を難なく運転したり突然野営のキャンプが設営されたりとメチャクチャなシーンも多々。しかしこれが映画なんだな、ホークスは映画でやって良いことと悪いことを感覚的な領域で理解し尽くしている。この辺りのセンスはもう天才としか言いようがないでしょう。サイレント期を生き抜いた監督の実経験で磨かれた感性は現代からするとかなり羨ましくもある。彼らは映画の開拓者なんだな。実際のところはその分酷い映画もかなり多かったらしいけども。

 ホークスの規律、アクション、リズム。いやあ、映画って本当に良いものですね。透析後の倦怠感&眠気に覆われた僕が完全にノックアウトされてしまった。ハワード・ホークス最高! 大好き!