『モンキー・ビジネス』(1952/ハワード・ホークス)覚書2021/8/21

 ホークスにしては珍しく立ち上がりが遅い。30分、いや大目にみても25分はホークスにしちゃ遅すぎる。

 これは仕方のないことで、若返りの薬を飲むことによって年老いた二人の身体性が「解放」されることがキーだから立ち上がりが遅いのはしょうがないんだけど、それにしても遅い。

 猿が登場してからエンジンがかかってきて、フォード買って髪切ってからはやっぱり面白いんだけどでもなんか違うというか……男の少年は良いけども奥さんの若返りは中々しんどい。男が洗濯室に飛び込むのは良いけども。

 伏線(しかけ)として若返りの薬(と思い込んでいる)ものがなんでもなくて水が本当の薬というのをさっさとセッティングしてしまうのは良い。しかし何故マリリン・モンローに水を飲ませなかったのだろう? 若返るというテーマだから歳が足らないというのもあるんだろうけども、にしてもせっかくキャラクターがあるのに序盤でちょっと出てきてあとは当て馬として退場するのは流石にもったいない。

 流石はホークス、二人が少年少女になってからは文句なしに面白い。男の髪を剃る所とか声を出して笑ったね、しかもそっからちゃんとクロスカッティングでクライマックスまで上げて来る。赤ちゃんを彼と思い込んだ妻と少年のままの彼。

 そしてフィナーレ、しかけが爆発して大団円。これで終わるのかと思いきや二人はドレスアップして部屋に居る、そして愛という薬を取り戻しましたとさ、おしまい。

 冒頭のくどいドアもこれのためだったんだね。映画とドア、『捜索者』! 大人のデートムービーを意識して制作されたんだろうか?