『赤い河』(1948/ハワード・ホークス)覚書2021/9/5

 やっぱりハワード・ホークスは天才なんだな、というかホークスの作品はどれも脚本が良く出来すぎているんだあまりにも。冒頭で彼女を置いて去るジョン・ウェイン、その姿が後の息子(跡継ぎ)の彼女に繋がってくる!

 冒頭、インディアンとの格闘で川に飛び込むジョン・ウェインの身体性!

 一時間付近、赤い河に到着した際の牛の大群の大移動! これこそまさに動く絵画じゃないか、美しすぎる。この運動量、画面の強さったらもうね。脱走する牛、線路を横断する牛、牛の大群とインディアンを動かすこの運動量の画面力たるやいなや。

 老いて白髪になったジョン・ウェインは(アル中)頑固爺さん、それは誰よりも彼自身が理解しているんだ深い所では。

 ジョン・ウェインの演技力、本気で跡取りを殺すつもりの卑劣な大男そのものなんだなこれが、これがなきゃクライマックスまで持っていけない。持続が続かない。このジョン・ウェインの背中は勝新がかなり影響を受けているんじゃないかと睨んでいる。

 別れのシーンなんか本当に怖い、後ろには俺が居ると思え、背中に気をつけろ。

 彼女は彼に訴える、というかウェインの方が先に察するんだな彼女は置いていかれたと。何故なら自分もかつて彼女を置いて行ってしまったから。

 ウェインの告白、自分には息子が居ると思っていた、しかし居なかった。彼を跡取りにするつもりだと。

 この自分と同じことをやって相手に気づかせるってのも脚本の王道だよね。アニメ『Boys be...』の最終回なんかまさにそうで、彼女と同じことを主人公にやらせて彼女の追体験をするような形で主人公に理解させるという。

 そしてクライマックスの殴り合いからの彼女の説教! マジで発砲しちゃうんだから凄い。そして14年前の約束が叶う、お前の稼ぎだと牛の烙印にMを書き足すジョン・ウェインの指1 んでTHE END、ちょっと面白すぎるでしょ! ハワード・ホークス大好きだな徹頭徹尾本当に文句なしに面白い映画を撮ったのは彼かヒッチコックくらいなもんでしょう。素晴らしい。