『さらば、わが愛 覇王別姫』(1993/チェン・カイコー)覚書2021/9/1

 フィルマークスで信頼できる星4.2以上の映画ってのは総レビュー数が~数百のシネフィル連中でしかアクセス不可能な映画であって、本作のような五千超えの映画ってのは見えている地雷なんですね。まあ普通に突っ込んで見事に撃沈した。三時間を返せ。

 ここまで酷い映画はかなり久々で、やっぱり最近の映画は信用ならない。古典を観ましょう、皆さん古典を。もう最初の三分で全部ダメ、全くノレない。

 ショットってもんがない。歴史もこの語り方は酷すぎる。『悲情城市』を観たことがないのかチェン・カイコーは? HHHから何を学んだんだ? 肝心の京劇のシーンも全てダイジェスト、のくせに学生運動だとかはみっちりやるという。

 溝口健二の『楊貴妃』が如何に優れているかがよくわかる。彼は演劇をカットしないし、あれだけ贅沢な時間を映画に割いておきながら90分という驚異の尺。短いに越したことはないのだ映画ってもんは。『悲情城市』はむしろ短いくらいで。

 映画でやっちゃいけないことを全部やったクソ映画ってことでパルムドール受賞したんだと思われる。それか政治。特に酷いのが金魚鉢のシーン前で牡丹停のダイジェスト。これはダメでしょう、三時間で何をやっとんだ? 溝口の『残菊物語』すらも観たことがないとしか考えられない。本当に酷い映画ってのをかなり久々に観た。三時間返せ。