上昇する人生/下降する人生/変化のない人生 2021/6/13

 TVを寝ながら視聴する用に買ったヘッドホンが届いた。

 

 いままでヘッドホンは二度チャンレジするもどうも合わずに返品するなりメルカリなりで手放していて、別に買わなければいいのに定期的に欲しくなる時期が来ては手放すを繰り返している。これは音がかなり抜けるので脳の疲労はイヤホンに比べればこちらに軍配が上がるが、やはり装着の身体的なストレスが軽いながらもまあまあある。

 というかたぶん頭がでかいからヘッドホンが合わないんだと思う。どうしたもんかな、とりあえずゴミは保管しておくか? しかし付属の延長ケーブルがかなり便利なもんで手放すに手放せない。返品した後で延長ケーブルだけ単品で買うと500円+送料でそれに返品の送料もかかるから実質800円くらいしか戻ってこないと考えると悩ましい。どうせまたヘッドホン欲しくなるから持っておくか? 元値が3000円なら即返品なんだけどな。う~~~~~~~~ん

 

 もう横になってテレビを見始めてから2時間経った。このまま死ぬのか俺は、これじゃまるで病室でただ死を待つ老人じゃないか。そこには人間的な生のエネルギー、死への抵抗が微塵も感じられない。むしろ死を望んでいるかのような、衰弱しきった醜い肉塊__自殺に至る程の熱情もそこにはない。

 

  トリュフォーは21歳から批評を「カイエ・デュ・シネマ」と「アール」紙に投稿し、27歳で長編初監督作「大人は判ってくれない」の成功を皮切りに25本の映画を残し52歳の若さで去っていった。彼の人生も下降する人生だったろうか? それはヒッチコック映画のように、クライマックスの最高潮で終わる映画のような人生ではなかったか?

 ここで俳優の大杉漣が亡くなった際、『情報7Days』にて発されたビートたけしのコメントを引用する。

 「漣さん、一番いい時に死んだんじゃないかと思うんだよね。遺族にとっては失礼で、不謹慎だと言われるかもしれないけど、いい思い出で逝った。悲しいと言えば悲しいけどね。悲しいというよりも『でかした、良くやりました』という思いになるね。いろんな人に怒られるかもしれないけど、良かったんじゃないか」

 

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 落ちぶれる前に死んでしまう映画のような人生......以前『人生は攻略できる』という本を読んだ際、人生には4つのパターンがあって、一番ひどいのが貧乏で下のまま死ぬ人生。次にひどいのが金持ちで上のままの人生。その次が上昇するも下降で終わる人生、一番良いのが下から這い上がって上昇したまま終わる人生だと言う。つまり変化のない人生こそが最も不幸な人生らしい。

 読んだのもかなり前で曖昧だけども、「終わり良ければすべてよし」ということは鮮明に覚えている。俺はこのまま死んでしまっては本当に変化のないまま終わってしまう。生活上の喜び__例えば時たま映画に出かけるだとか__はあれども、人生そのもの、つまり物語としての人生の面白さはそこにはない。そして大半の人間がそうした人生を送って死んで行くだろう。

 このままフリーターなり派遣なりもしやる気を出して正社員で就職したとして、年下の才能あふれる若者に目もくれずに変わらず名画座に通っているだろうか。少なくともテレビは死ぬまで視聴し続けるだろうが__そんなことを考えてしまった。つまり体調が悪い。さっさと寝たほうが良い。